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What's Snowbirds?

カナダにはスノーバード(ユキホオジロ)という可愛らしい渡り鳥が生息しています。その鳥の名を冠するカナダ空軍のアエロバティックチームが第431曲技飛行隊「スノーバーズ」です。北国のカナダらしい素敵な名前ですね。スノーバーズはCT-114チューターを9機使用します。北米大陸のチームのわりには、その機動は正統派ヨーロピアンスタイルのアエロバティックを特徴としています。かつての宗主国であったイギリスのレッドアローズが同じ9機編成ですが、スノーバーズとの直接的な関わりはありません。

スノーバーズの演技にはユニークな点が一つあります。それは「演目時間が非常に長い。」ことです。正確な時間は計測していませんでしたが、望遠レンズを構える時間も同時に長くなりますから、腕が痛くなるという事象においては十分に体感することができます(笑)。スノーバーズはヨーロピアンスタイルのチームですから、多くの機数を活かして次々にアクロを繰り出す切れ目のない演出を得意としています。よってけっしてダラダラとした時間というわけではなく、純粋に演目数が非常に多いのです。

スノーバーズはカナダおよびアメリカを中心に活動しており、アメリカンタイルの本家として知られる米空軍サンダーバーズや米海軍ブルーエンジェルズと競演する機会の多いチームです。ゆえにお互いに刺激しあうということもあるのでしょう。演技の質はこれらの米軍チームに勝るとも劣らない素晴らしく高い水準にあります。CT-114はサイドバイサイド複座であるという、アクロバットに不利な要素も同時に抱え混んでいるにも関わらずです。

スノーバーズこと431飛行隊の歴史は古く、実戦の爆撃機部隊をルーツとしています。1942年の第二次世界大戦中のイギリスにおいて、「第431爆撃飛行隊」として発足したことに始まりました。431爆撃飛行隊はビッカース ウェリントン、ハンドレページ ハリファクス、そしてアブロ ランカスターといった爆撃機を使用し、第二次世界大戦を最後まで戦い抜きました。戦後431爆撃飛行隊はカナダ本土に本拠地が移され、そして解散されました。1954年、カナデア セイバー(F-86)を使用する部隊として第431飛行隊は新たに第431戦闘飛行隊として復活しました。第431戦闘飛行隊の任務は実戦ではなく、エアショーにおける4機のセイバーによるアエロバティックフライトにありました。第431戦闘飛行隊の活躍は1年にも満たない短いものでしたが、カナダ空軍における初めてのアエロバティックを専門とするチームでした。

1967年、空軍は新たなアエロバティックチーム「Golden Centennaires」を設立しました。 ゴールデン...ゴールデンセンテネアーズ?...ええい、よめねえ!(笑) 「黄金の百年隊」を意味するゴールデンセンテネアーズ(?)の使用機は4機のCT-114チューターでした。カナダの建国100周年を祝うために設立された臨時チームであったため、年内にその役割を終えています。

しかし、その魂は失われることはありませんでした。1969年、ゴールデンセンテネアーズのリーダーと教官パイロットで編成される非公式のCT-114アクロバットチームが結成。翌1970年のカナダ アボッツフォードエアショーにおいて、にはじめての一般公開飛行展示が実施され、白く塗られたCT-114のアエロバティックはカナダの人たちを熱狂させました。

教官による非公式アエロバティックチームは高い人気を誇りました。当初は4機編成でしたが1971年より7機編成へと増数されています。そしてその白い塗装から愛称スノーバーズという名が与えられました。さらに1977年、ついにスノーバーズはカナダ空軍公式のアエロバティックチームとして認められます。そして1978年。第431曲技飛行隊「スノーバーズ」として独立しました。かつては爆撃機飛行隊として第二次世界大戦を戦い抜き、アエロバティック飛行隊へと華麗なる変身を遂げた431飛行隊は、世界でも異色の経歴を持つアエロバティックチームと言えるでしょう。

2011年現在、スノーバーズは解散の危機にあります。このように素晴らしいチームが何故...。と悲しくなってしまいますが、ずばり問題はCT-114チューターにあります。CT-114はゴールデンセンテネアーズから数えて四十余年もの間スノーバーズの唯一無二の使用機で有り続けました。CT-114の運用寿命はもはや尽きました。そろそろ後継機が必要な時期にあるのです。ところが、カナダ空軍はパイロットの養成をボンバルディア社に委託しました。
つまりCT-114の後継機が無いのです。CT-114が退役してしまえばスノーバーズに使える適当な機が無くなってしまいます。現在、スノーバーズの存続に関する決定は何もなされていません。CT-114が限界に達したときどうなってしまうのか...。現時点ではまだわかりません。

使用機材 CT-114チューター

あまり航空に興味の無い人はご存じないでしょうが(そんな人がこのページを見るとも思えませんが)、カナダは昔から航空産業が盛んな国として知られています。CT-114チューターも同国の航空機メーカー、カナデア(Canadair)社によって設計・製造されました。
チューター(家庭教師)の名からも分かるように、CT-114はパイロットに飛行を教える練習機として開発され、1960年に初飛行を実施しました。
エンジンは11.8 kNのJ85エンジンをカナダがライセンス生産したものを単発搭載しています。J85はF-5やT-38と同じものですが、CT-114に搭載されているものはアフターバーナーを有していません。
CT-114はパワーや視界の面など、近代的ジェット練習機に比べてかなりアエロバティックには不利であると言えるでしょう。
チューターも既に初飛行から半世紀あまりが経過し、そろそろ博物館行きの年齢となりました。残されている寿命はあと僅かとなっています。練習機としては2000年にカナダ空軍から退いています。またマレーシアにも輸出され、COIN機としても運用されました。

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