第40回:戦闘機基地訴訟について考える その2

某AWACSファンクラブ。私たちはそう呼んでいます。

さて、あんまり面白い内容では有りませんが、前回の「騒音訴訟について考える」では政治的内容もあって多数の反響をいただきました。その中からあるAWACS反対サイト(No!AWACSの会)についてのメールを頂きました。
そのウェブサイトを見せていただいた上で、下記の質問状(っていうのか!?)を送りました。
ちょっと長いです。

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まず、浜松航空自衛隊広報館についてです。
戦闘機をはじめとする兵器の展示やシミュレーター、そしてパイロットスーツの着用と写真撮影は戦争賛美であるとありますが、その根拠が全く理解できません。将来の自衛隊員の勧誘という目的が何故戦争美化であるのかがわかりません。
零戦等戦争に使われた兵器の展示が戦争美化につながるのなら、何故あなた方はNo-浜松城!と叫ばないのでしょうか。AWACS同様にそれそのものに殺傷力は無くとも立派な城砦であり兵器だと思うのですが…
しかも浜松城は戦争に使用された例があるのでは?
三方が原の合戦において武田信玄に敗れた徳川家康は浜松城に退却し「開城の計」を用いて武田軍の追撃を防いだ、という事実が。そして火縄銃や刀剣の展示。「兵器は戦争のためのものであり、人を殺すためにつくられているものです。」あなた方の主張で言えば戦争賛美につながると思うのですがいかかがでしょうか。それとも「風化した歴史」であらば兵器でも許されるのでしょうか。

将軍家康公が長年本拠地にしていた浜松の周囲には戦国時代の名残が多く残されていると思われます。これらを完全に無視し広報館のみを攻撃するのは、自分で矛盾するとは思いませんか?

次ぎにAWACSとレーダーサイト。
レーダーサイトを攻撃せずにAWACSのみを攻撃する理由に「AWACSは単なるレーダーサイトではなく戦闘機の管制も行うため」と有りますが…これは明らかな間違いです。何故ならレーダーサイトにも十分指揮管制を行う能力があるからです。ベトナム戦争における北ベトナム空軍、バトルオブブリテン(第2次世界大戦のイギリス対ドイツの航空戦におけるイギリス空軍の例をみれば明らかです。

もっと言いたい事は別の場所にあるということは感じ取れますが、このような主張を反論材料として公の場(つまりウェブサイト)にて公開するということは、前面に押し出している理由としてとられます。
AWACSに反対す根拠としてレーダーサイトとは違って指揮管制能力があると述べてしまい、それが間違いであると知らされてしまった以上。あなた方にはNo-レーダーサイトとも叫ばなくてはならなくなってしまいます。

孫子曰く「敵を知り、己を知れば百戦危うからず。」
あなた方のように軍事に対して戦うならばです。軍事について勉強し、「敵(つまり軍事)を知る」必要があると思うのです。
現状、「敵」を知らないため恥ずべき発言を繰り返している「己」であることも知ってください。
知ったつもりではだめです。知っているならば「米軍のAWACSが先頭に立って…」などと一見根拠のあるような恥さらしな発言はしないはずです。おそらく言葉のアヤとやらでしょうが、この程度で「知っている」とは思わないでください。繰り返し言わせていただきますが、己を知り敵を知ってください。


再び広報館の話になりますが、広報館はその名の通り自衛隊の広報活動にあるわけであって、当然隊員の勧誘は大きな目標の一つでしょう。そしてもう一つの理由は…

ところで、「なだしお」事件ご存知でしょうか。自衛隊の潜水艦と漁船が衝突し潜水艦のクルーは沈没してゆく漁船を悠々眺めていたと新聞に書き叩かれた事件です。この後完全な事実誤認であると立証され、安全の義務を怠った双方が処分されたわけですが、それ以降自衛隊は広報活動の重要性を認識し、広報に力を入れるようになりました。
何の事はありません、あなた方が事実誤認の発言を繰り返している悪いイメージを払拭するためのイメージアップが最大の目的なわけです。(当然ブルーインパルスの演技飛行も)
「楽しませるためという隠れ蓑をまとい広報活動をしている」などと隠れ蓑だと思っているのはあなた方だけです。
また、勉強すれば自衛隊は他国に対して攻撃を行える能力が無いのも分かるかと思われます。


次ぎはあなた方の言う「兵器の撤廃」についてです。
あなた方の兵器と認識する範囲はわかりません。銃砲だけが兵器なのでしょうか?
私にとっての答えはあなた方がAWACSに反対するように否です。シャベルやスコップですら弾薬浪費後に武器として使用されたのをご存知でしょうか?当然調理包丁だって同じ事です。
人を殺す兵器として作られた物だけが兵器ではありません。兵器を英語にするとarms。つまり「腕」ですら最後には兵器になるのです。


では、人を殺す「兵器として作られた物」についてはどうでしょう。
ところで、今現在インターネットを通じてあなた方にメールをいたしましたが、このインターネットの成り立ちをご存知でしょうか。

インターネットの原理等を説明している技術的入門書を本屋で手にとって見てください(TCP/IP等)。インターネットの歴史に、必ずこう書かれています。
「インターネット(TCP/IP)はアメリカ本土が核攻撃を受けた場合に通信の途絶を防ぐために国防総省により確立したネットワーク回線です。」…と。

これは成り立ち時だけではありません。現在でも機能しつづけており、むしろ規模は拡大しております。余談になりますが、2001年のあの凶悪テロ事件の際、電話回線はパンクし途絶してしまったのに関わらずインターネット回線は生き続けておりました。

おわかりですか??
あなた方は無意識とはいえ兵器の撤廃を唱えていながらも兵器を利用してしまっています。
あなた方の言葉を借りると、インターネットは防衛が目的とは言え間違い無く戦争のための道具でありまぎれも無く兵器です。

さらにもう一つ、あなた方の自動車にカーナビついてませんか?
あのGPSターミナル、すなわち全地球規模測位システムの端末はナブスター衛星と呼ばれる人工衛星からの電波を利用しておりますが、このナブスター衛星。アメリカ軍の軍事衛星でありれっきとした兵器です。このナブスター衛星を利用した誘導爆弾等が既に使用されております。人殺しの為に打ち上げられた衛星を無意識に使用していたりはしませんか?


まぁ…極端な例であり、こんな事を言ったら生活できなくなってしまいますが、これは事実です。当方は自衛隊や軍事とは全く関係の無いコンピューター関連の仕事をしております。最近では携帯電話に関する交換機側のプロジェクトに参加しているのですが、その仕様書にすらこう書かれています「当資料は兵器等戦略防衛技術に該当し…」と。
あなた方の言う人殺しの為に作られたのではない携帯電話ですら「兵器」であると明記されてしまっているのです。
これら文明の利器を使うな!とは言いません。私にそんな事言える権利はありません。ですが「事実」であることを知っていてください。


もう一度言わさせていただきます。AWACSの破棄や兵器根絶、これらあなた方の運動に反対するつもりはありません。防衛庁や米軍に肩入れするつもりもありません。ただし根拠の乏しい反論と事実誤認。そしてなによりもガキのケンカに等しい程度の低い表現。これらには大反対です。
ただの「口撃」ではなく、理論に基づいた正しい知識での「もっと大人らしい」表現ができないものでしょうか。

最後に兵器の撤廃についてです。
現状、安全保障を維持して行く上で兵器が必要とされており、残念なことに公然と人殺しが行われてしまっているのが現実です。
あなた方の提唱する兵器や軍隊の無い世界。このような世界を実現するための具体案と、人殺しの兵器を持つ軍隊や警察にかわって安全保障を維持できる現実的な具体案を教えていただけませんでしょうか。現実的なです。

「代案無き反対が受け入れられたためしは無い」…とは誰の言葉であったでしょう。

さて、長くなってしまいましたがこれ以上はきりがないのでここまでとしたいと思います。不愉快な内容で申し訳ありませんでした。
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こんな事を言っても恐らく聞く耳持たずでしょうが、ちょっと腹立たしかったので書いてしまいました。
A基地爆音反対派やAWACS反対派、今までは、どちらかというと反対派方々に同情しある程度の支持もしておりました。しかし、彼らのウェブサイトでよく よく主張を読んで見ると、「AWACS歓迎!反対するのは国賊!」などと叫び周る連中も反対派も同じ類でした。

なお、彼らがインターネット回線を切断したのかどうかは知りませんが、このメール内容についてのレスポンスはまだありません。返信されしだい、ココに追加するかもしれません。 
返信がありました。第四五回戦闘機基地の騒音訴訟について考える その3をご覧ください。


(更新日:2002年7月6日)


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