60式106mm自走無反動砲

60式106mm自走無反動砲は、戦後初めて国産された装甲戦闘車両である。
まず1954年に日本製鋼所で国産無反動砲の開発が開始され、翌1955年に第一次試作車両であるSS-1(三菱重工製)とSS-2(小松製作所製)が完成した。その後、さらにSS-2を元にしたSS-3とSS-4が完成し、試験の結果「60式106mm自走無反動砲」として1960年9月に正式採用された。
非常に小型なのが特徴で圧延均質鋼板製の車体を持ち、その車体前方にトランスミッションを搭載、その後方に操縦手、さらにその後方に弾薬手(装填手)位置し、その右側に106mm無反動砲を2門搭載している。車体中央やや右寄りに砲架と一体化した車長席がある。車体の最後方にはエンジンが搭載され、車体前方に貫通するプロペラシャフトを介してトランスミッションへ動力を伝える。

主砲は106mm無反動砲で有効射程1100m、照準はスポッティングライフル(主砲と同じ弾道で飛翔する弾薬を発砲し、それが標的に命中すれば主砲も命中させる事が可能な状態にある)で行われる。基本的に待ち伏せ専用兵器であり、敵戦車に対して積極的な機動戦闘を行うことは想定外であるため、射撃時は車体を遮蔽物や稜線に隠して待ち伏せをし、砲架だけを上昇させることにより、車体の露出を最低限に抑えたま稜線射撃が行える。ただ無反動砲故に発砲煙が目立つため、発砲後は直ちに退避し、他の場所で次弾射撃を行わなければならない。
はっきり言って小型であると言う以外これといった特徴はなく、この車両で対戦車戦闘を行わなくて済んだのは幸いであったが、戦後初の国産AFVとして国内メーカの技術向上を図る上で貴重な経験を与えてくれた車両であった。
1960〜1979年の間にA型、B型、C型併せて253両が生産され、当時の陸自にとっては貴重な対戦車火力として普通科連隊対戦車小隊に配備されたが、現在は殆どが退役している。

性能諸元

名称 60式106mm自走無反動砲(C型)
製造 小松製作所(車体)日本製鋼所(砲)
全長 4.8m
全幅 2.23m
全高 1.38m
乾燥重量 8t
出力 SA4D105水冷ターボディーゼル 150HP
速度 55km/h(整地)
燃料搭載量 77L
航続距離 140km
主武装 106mm無反動砲x2(携行弾数10発)
副武装 12.7mmスポッティングライフルx1
乗員 3名
実戦配備 1960年

派生型

●60式106mm自走無反動砲A型

初期型(1960〜1967年)エンジン:6T-120-2H空冷ディーゼル(120HP)

●60式106mm自走無反動砲B型

中期型(1967〜1975年) 車体構造の強化

●60式106mm自走無反動砲C型

後期型(1975〜1979年) エンジン換装

配備国

●日本

253両(A、B、C型合計)

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