ヴァディム・ザドロズヌイ技術博物館 (ヤコブレフ設計局 博物館) 2012年
Музей техники Вадима Задорожного - Technical Museum of Vadim Zadorozhny  モスクワ

 モスクワの郊外にあるヴァディム・ザドロズヌイ技術博物館は、主にロシアのものを中心とした航空機・戦車・その他自動車や武器などを展示する博物館です。航空機の多くは屋外に展示されていますが、それなりに手入れは行き届いてあり、状態はまずまず良好。屋内のものはキラ光りする美しさに維持されています。本博物館はプライベートな博物館、すなわち個人の所有物です。ソ連崩壊後に大もうけしたお金持ちが、志をもって維持しているようです。素晴らしいお金の使い道ですね。
 ヴァディム・ザドロズヌイ技術博物館の主要な展示物は多くがソビエトで活躍した乗り物、もしくは大祖国戦争(第二次大戦 東部戦線)のドイツ軍の装備です。その中でもヤコブレフ設計局の航空機がとても充実しています。それもそのはずで、ヤコブレフ設計局博物館の展示物がそのまま引き継がれています。ヤコブレフを集めた展示物...なかなかマニアックで心ひかれるものがあります。
 入場料金は350ルーブル。写真撮影する場合は+150ルーブルとなります。合計500ルーブルですから、おおよそ1500円程度です。いくらロシアは人件費が安いと行っても、それなりに規模の大きい博物館ですし、こんな僅かな額では博物館を維持できるわけもなく、オーナーの展示物に対する愛情をうかがい知ることができます。
 今回、行き方の解説はありません。某エアショーツアーで行ったので、バスに乗って寝るなり景色を眺めて居るなりしたら、勝手に到着したので(´ー`*)

公式サイト
http://www.tmuseum.ru/main-page

■ヤコブレフ・飛行機の展示
ヤコブレフ!ヤコブレフ!ヤコブレフ!一心不乱にヤコブレフ!ヾ(゜∀゜)ノ
まずは屋内外問わず、充実したヤコブレフ設計局関連の展示から紹介しましょう。

・Yak-38 / Yak-36M

はい、ソビエト海軍初にして唯一の実用VTOL戦闘機。VTOLはできるが戦闘のできない戦闘機ことYak-38です。
翼下に空対空ミサイル2発とロケット弾ポッド積んでますが、これで最大ペイロードです。

(なんてこったい露出が...)
この機。看板には出力向上型Yak-38M(ハリアーIIに相当)とありましたが嘘です。
量産化前のモデルのようで、いくつか異なっている点があります。例えば胴体エアインテークの上あたりに、フィンがありません。


もともとYak-38はYak-36の発展型Yak-36Mという名称で開発が行なわれていました。
この機もYak-36Mという名称だったころのYak-38のようです。


ツマンスキーR-27V-300ターボジェット。ハリアーと同じように、メインエンジンのノズルは完全に真下まで可動する機構をもっています。
ハリアーのロールスロイス・ペガサスとの決定的な差は、バイパス比ゼロのピュアジェットであると言うことです。つまりハリアーが機体後部のノズルからは燃焼器・タービンを通過してきたコア流を、機体前部のノズルはバイパス流を噴出していたのに対し、本機は後部のノズルしか有していません。


おしりに顔を突っ込んでみました(//∀//)
このように、ジェットパイプ内部で空気流が左右に分岐します。アフターバーナーはもちろん非搭載。

さてYak-38は前部ノズルが無い代わりに、Yak-38はリフトジェットの搭載という道を選びました。離着陸時にここがパカッと開いて、胴体上部のドアもポコッと開き、下向きにジェットを噴射し、上向きの推力を得ます。
「リフトジェット」は有り触れた選択肢だったのですが、重量やコストといった問題を解決できずにそのすべてが失敗しており、Yak-38もその轍を踏むこととなりました。


失敗っても一応実用化されたんですけどね、この子は...。

・Yak-38M

こちらはたぶんYak-38Mです。上のYak-38の性能向上型です。

・Yak-41 / Yak-141

「なんという格好いい見た目...こいつはできる...!」と、見せかけてこれも失敗に終ってしまった戦闘機。Yak-141ことYak-41
ソ連崩壊の波にのまれて中止に追い込まれた機体ですが、もし完成したとしても、こいつを艦載する空母はキエフ級ですからねぇ。

さて、この子もYak-41でもYak-38から継続してリフトジェット+推力偏向式排気口という形式を継承していますが
...(゚д゚)あらま! エンジンがないわ。
にしても、テールが異様に長いのが不格好ですなあ。


へっへっへ、柵も無いからもぐり放題だぜ(´∀`*)
手前のドアはギア、その奥の少し大きめのものがリフトジェット用のドアです。
さすがYak-41は超音速機だけあって、Yak-38とは違いドアと胴体もスムーズに接続していますね。
ロシア御用達のGSh-301機関砲も、ずいぶん下の位置に配置してますなあ。(MiG-31みたいな感じです)

 
Yak-38が簡素な軽攻撃機でしかありませんでしたが、Yak-41は本格的な戦闘機としての能力が求められました。
短射程のR-60ミサイルに加えて、セミアクティブレーダー誘導型の中射程R-27ERを搭載していることからもわかります。


ちょっと映り込んでしまって見えにくいですが、こちらはYak-41の風洞模型です。

・Yak-25M

機首部に大層なレドームがついてますが、これを実現するために主翼下ポッド式という戦闘機らしくない設計となりました、亜音速の大型全天候迎撃戦闘機です。
モニノ空軍博物館のページにも書きましたけど、せっかくの立派なレドームも中身が問題でした。

・Yak-28P

Yak-25と似てるけどべつの戦闘機です。これはモニノ空軍博物館にも無いよ!
モニノにあるYak-28Lは戦術爆撃機型ですが、こちらのYak-28Pは迎撃戦闘機型。NATOコードも爆撃機型のブリューワーと戦闘機型のファイアバーと異なっています。

・Yak-9
 
イギリスではスピットファイア、ドイツではBf109、日本では零戦のように、どの国にも一つは大戦を通じて性能向上が行なわれ続けた戦闘機がありますが、Yak-9はソ連にとってそんな戦闘機のうちの一つです。
Yak-1の性能向上型Yak-7、そしてYak-7の性能向上型がYak-9です。
本機はYak-9で戦ったエース・ソビエト連邦英雄 Ivan Kleshev 乗機の塗装が施されています。

・Yak-3

第二次世界大戦における、ロシア最優秀戦闘機のうちの一つ。Yak-3はYak-1シリーズの決定版です。
Yak-9から小型化・軽量化が行なわれ、飛行性能が向上しています。
第二次世界大戦時のソ連製戦闘機というと、日本人のファンからはとかく低く見られがちですが、特に中・低高度ではBf109やFw190の後期型を相手にしても対等以上に戦えました。

・Yak-11

これもYak-1系列機。Yak-3を原形に空冷エンジンへ換装・さらに複座とした練習機型です。

・Yak-15

ジェット戦闘機ですが、これも実はYak-1シリーズ。Yak-3を手っ取り早くジェットエンジン化した戦闘機。
エンジンはドイツから戦利品として獲得したJumo004を単発搭載。ソ連初のジェット機として完成しましたが、「大人の事情」によりソ連二番目のジェット機となりました。
ジェットで尾輪式は色々と無理があったので、すぐに前輪式としたYak-17が開発されました。

・Yak-23UTI

Yak-1シリーズ最後の戦闘機。Yak-23の練習機型Yak-23UTI。


「原型機Yak-1 > Yak-7 > Yak-9 > Yak-3 > Yak-15(ジェット化) > Yak-17 > Yak-23 試験範囲だから。覚えておこうな!」

・Yak-44E

E-2ホークアイがなぜここに? いいえ、違います。これもヤコブレフ設計局。Yak-44Eです。右側はどうやら実際に使われた風洞模型のようです。
見てのとおり、やりたいことはホークアイです(^^; 空母「アドミラル・クズネツォフ」に備えた早期警戒機だったのですが、キャンセルとなりました。
そのうち、中国でYak-44Eそっくりな艦載警戒機が登場すると予想。

・UT-1

UT-1は第二次世界大戦前に完成した、単座型の練習機です。
小型軽量で運動性に優れていたので、アクロバット機の練習機としても成功しました。

・UT-2

UT-1そっくりですが、複座型となっています。ポリカルポフU-2練習機を代替する目的で開発されました。

・Yak-18

Yak-18
第二次世界大戦直後に就役し、冷戦中長きにわたって東側諸国の標準的な初等練習機として活躍しました。

・AIR-1

軽飛行機AIR-1は1927年に初飛行。二十歳そこそこのヤコブレフによって設計された彼にとって最初の飛行機です。
長かったヤコブレフシリーズもこれでラスト。

・Hurricane Mk IIb

大祖国戦争中レンドリースされたハリケーンIIb

・SPAD S VII

このS7フランス空軍塗装だし、あまりロシアと関係なさそう。

・Fokker Dr.I

うむ。明らかにレッドバロンのDr1。ロシア関係なし。

・Bf109G-6

とても状態の良いグスタフ。

・MiG-15UTI

スルー。

・Mi-1U

ヌルー

F-84F

無慈悲なスルー。米帝の戦闘機...

・S-25

誘導装置を持たない航空機用ロケット弾としては世界最大のS-25。340mmで123kg...。殆ど爆弾並みの破壊力です。

・R-60

冷戦後期の主力短射程AAM。そういえば、あんまり間近で見たことなかったかもしれない。

・R-77

特徴的なフィンが無いとR-77と分かりにくいじゃないか...。


ロシア製の戦闘機搭載機関砲。
左上から ShKAS、UBK、NR-23、ShVAK
右上から UBT、UBS、GSh-23L、NR-23、NR-23
一番下の迫力ある大口径機関砲がN-37


レストア中らしき各飛行機。この先も展示物が増えそうですね♪

■車両・戦車・兵器の展示


ZIS-115。こちら、スターリンが愛用した専用防弾車だそうです。
あの猜疑心が強いスターリンは、本車の性能試験にあることを要求しました。

「中に人を乗せて撃ってみろ」

さすがのソ連クオリティ(笑)


こちらも歴代VIP車両。


すっげえ楽しそう(^_^;
ナンバーの д ←これが出来損ないの顔文字にしか見えない。


BMW R75。映画なんかだとナチスの兵士はよくサイドカーに乗ってますよねえ。


あー...。マキシムとAK、RPGくらいは分かるけど...
航空機銃ならともかく(マキシムは空冷型があるしね)、地上の火器は興味無いです。スミマセン(><;)


赤い星のM3スチュアート。レンドリースされたものですね。


なんか可愛い戦車が(*^_^*) T-37(左)、T-38(右) 水陸両用戦車だそうで。
機銃しか装備していない軽戦車が役に立ったはずもなく...。


IS-2 ISU-152


8.8cm FLAK


BRDM-1 フライトシムによく出てくる(的として



第二次大戦初期の戦車と、末期の重戦車。比較にならないほどの大きさですが、対戦車砲の進化もまた凄まじい。
左3.7 cm PaK 36。中ZIS-2、右ZIS-3。

 
ヤセンホウがイッパイアッテナ。好きな人にはたまらなさそうです。


何か凄い砲身。BS-3 100mm野砲・対戦車砲


何か凄い砲身その2。えーと、APFSDS...滑腔砲ですか。


まだ大きくなる。D-20こちらはりゅう弾砲。


M-46カノン砲...ってまだ長くなるんかい。少しは自重しろ(゜д゜;)


2S7ピオン 203mm自走カノン砲
どういうことなの(((((( 。Д。)))))) 世界最大の自走砲とのこと。これ以上大きいのはないんだ...と、なんかホッ...としました。


もうつかれました...w


よくわからないブサ可愛い子たち。


T-10M重戦車。はい、みんな大好き戦車の時間ですよー

 
Object 757 唯一現存?のレア戦車らしいです
潰れたまんじゅうみたいな砲塔に125mm砲を備えていますが、やけに砲身が短いのが特徴的です。どうやらこの主砲は徹甲弾を打ち出すためのものではなく、
対戦車ミサイルの発射を目的としているようです。


T-54


↑の発展型T-62


T-72


お、なんか格好いいぞ。T-80B


M50シャーマン
ツレ曰く「向こうにシャーマンあったよ」「は?シャーマン? シャーマンなんか...。」 
「ただのシャーマンじゃなくて、イスラエルの魔改造シャーマンだわんわん(U^ω^)」
だそうで。シリアかエジプトから貰ったんでしょうか。

 
T-34-85。
シャーマンとT-34って似てますよね。


SU-100


IS-3


2S9空挺自走砲



BM-21ロケット


2S3 152mm自走砲に、BM-22 220mm多連装ロケット、2S4 240mm自走迫撃砲、BTR-152I(どうでもいい)


さて、対空火器いってみましょう(飛行機にかかわる兵器なので元気になった
130mm対空砲と37mm機関砲。


S-25(SA-1)/V-300
初めて見ました。デカ( ゚Д゚) ソ連が配備した最初の地対空ミサイルで、モスクワの周囲をリング状に配備されました。
想定脅威はB-52。弾頭は破格の250kg! 誘導能力が低い分破壊力で補っていた。というわけです。


S-75/(SA-2)
こちらは世界中に輸出されたため、比較的よく見掛けます。S-25の後継。


2K11(SA-4) すごく...太いです。初めて見ました。
本ミサイルはラムジェット型の二段式SAM。ノーズコーンがあまりにも凛々しい。


2K12 (SA-6) カッコいいですよねえ(*´ω`*)
第4次中東戦争ではエジプト軍に鬼のように配備され、F-4ファントムをカモにした実績有。


9K35 (SA-13) 赤外線誘導型の近接航空支援からの防御型地対空ミサイルですね。


9K72地対地ミサイル。 あれ、看板に珍しくNATOコード「スカッド」ってかれてるよ。
ロシアの兵器って、例えばこの博物館だと「フォージャー」とか「フリースタイル」とか、NATOコードが殆ど愛称のように用いられてるけど、これはもともとNATOが勝手につけた名称ですから、ロシアの博物館ではあまりそうした表記を見かけないんですよね。まったくないわけではありませんが、珍しい。


これでラストです。暖かいボルシチどうぞ〜(*^ω^)つ旦


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