大祖国戦争中央博物館 (赤軍戦勝記念公園) 2012年
Центральный музей Великой Отечественной войны - The Central Museum of Great Patriotic War   モスクワ

 モスクワには東京のような首都高速もなければ、新宿副都心のような超高層ビル群も(あまり)ありません。しかしながら市内の至るところに大きな公園が設けられており、緑豊かで広々とした街並みは、さすが世界最大の国土を有するロシアの首都だな。と、思わせるところがあります。
 そしてその中の一つに「赤軍戦勝記念公園」という対独戦争の勝利を記念する大きな公園があります。赤軍戦勝記念公園の敷地内には、第二次世界大戦の東部戦線に関するコレクションを保有する「大祖国戦争中央博物館」があり、多くの兵器が陳列されています。おもに小さな展示物を陳列する屋内と、航空機や車両を陳列する屋外兵器展示場にわけられています。 今回、見学時間に余裕が無かったため、屋外兵器展示場へのみ見学することにしました。
 ただ大祖国戦争中央博物館は保有する戦車や飛行機の数は悪くないのですが、いかんせん状態が最悪です。レプリカが多いのは仕方がないにしても、当時の様相を再現しようという努力のかけらも感じられない塗装はちょっと...残念です(^^;
 この博物館には英語の解説文が有ります。いやはや本当助かります。ロシアの博物館はロシア語しかないことが殆どなので。 と こ ろ が !

↑いくらロシア人は英語ができないと言っても、それ以前の問題。これは酷い。ロシア語読めないけど、明らかに英語の文章と違う。
ていうか、英語の説明文、違う戦車の説明してるじゃんか(苦笑) こういういい加減さ、博物館としてどうなの?という疑問はぬぐえませんでした。


 ちなみに、博物館の外にはT-72戦車などが無造作におかれています。実はこれらは稼働状態にあり、モスクワ有事の際には現役復帰することになっています。もちろんデタラメですが。

公式サイト
http://www.tmuseum.ru/main-page
入場料:70ルーブル 撮影料60ルーブル(ビデオは160ルーブル)
(なお、館内を見学する時間はありませんでした)

■航空機
航空機は博物館の一番奥に展示されてあります。モニノ空軍博物館にもない珍しい飛行機もあり、ゆっくりと楽しんでいきたかったのですが、いかんせん時間が無く、早歩きを余儀なくされました。航空機ですらそんな状態ですから、陸上兵器なんてロクに見てすらいません(笑)


Il-2は言わずとしれた大祖国戦争におけるソビエト空軍の主力攻撃機ですが、展示のタイプは初期の単座生産型...のモックアップ。
飛行性能向上のためロケット弾搭載数を半分に削減した機体。主翼下にRS-82ロケット弾を装着しており、8発を携行できます。



ハリケーンMk.IIb。あまり出来の良いモックアップとは言えませんなあ...。残念。


P-63C キングコブラ。と、その搭載エンジンであるアリソンV-1710。本機は実物を原形に復元したものです。ギアをはじめにちょっとできがよくないのですが...。
本機は888戦闘航空連隊所属機。占守島の戦いに投入された機体のようで、同島で発見されました。


Bf109-F2 こちらもフルスケールモックアップ。


Yak-3 モックアップなんです(´・ω・`)


I-16 Type 10 やはりモックアップ。


DI-6 モックアップです。
これはレア戦闘機。戦闘機ぃ?後部銃座ついてるじゃん。って感じですが、れっきとした複座戦闘機です。
これで背後を取られても安心!...でもこんな「後ろ向きな解決策」は受け入れられませんでした。
だったらその分の重量軽くして運動性向上したほうがいいだろう...となるのは必然。
第二次世界大戦ではソビエトのポーランド侵攻で実戦に投入されるも、あとは練習機として使われました。


Su-2 スホーイ最初の実用機。の、モックアップ。攻撃機・偵察機として採用されました。
独ソ戦開戦直後まで生産が続いていましたが、ドイツの奇襲により混乱状態にあったことも手伝い、
Bf109にフルボッコにされた挙げ句、Il-2に主力の座を奪われてしまいました。


Ju88A-4 これはどうやら実物を元に復元したようです。で、出来が悪すぎる...


Bf110F-2 復元前ですね。寧ろこの博物館で復元されない方がいいかもしれない。


LaGG-3 モックアップ。大祖国戦争初〜中盤を支えた木製機。はじめてだけど偽者じゃなあ〜。
そういえば昔、「戦争末期の日本は、資源に困り愚かにも木製の戦闘機を造ろうとしました」みたいな記事が新聞に掲載されていました。 あん?おまえらラボーチキンディスってんの?ちょっとモスクワまで来て貰おうか。


La-5のモックアップ(と、撮りにくい...) ↑のLaGG-3を再設計。中期の主力。エンジンを空冷にしたら使いやすくなりましたよ。


Il-4 爆撃機(本物)緊急着陸後に廃棄された機体のようですが、その後レストアされて本博物館に寄贈されたとのこと。
明らかにこの博物館の仕事じゃないクオリティ(苦笑)で、しっかり復元されています。
なお、以下すべて実機です。


Li-2。DC-3のソ連版。と、そのエンジンM621R。ムルマンスクで発見。だそうで、撃墜されたのか胴体着陸でもしたんでしょうか。


MiG-15UTI。MiG-15の練習機型。総生産数3433機だけあってどこにでもある。


MiG-17


(o‘∀‘o) やだ、Mi-24Dさんが可愛い...!


Mi-8TB ヒップのガンシップ型です。


Ka-25PLO。艦載型対潜哨戒ヘリコプターです。


Ka-26。これ、成田空港の航空科学館にもあります。日本にも存在する珍しいソ連機。


MiG-21SPS ジェット戦闘機は大きいので全体を写すことが困難です。ただ、それなりに近くによって見学することができます。


Su-17UM。練習機型。


Su-15TM 主翼下につけた二発のK-8ミサイルの存在感もなかなかですが、胴体下にUPK-23-250ガンポッドがなかなか。


MiG-23ML 普通のML


Su-25。ガンポッドとロケットのありがちな兵装搭載例。

 
MiG-29 この博物館におけるもっとも新しい展示物。 おっ、おっ。エアインテーク閉じてるのはじめて見たわんわんお(^ω^U)

■陸上兵器・塹壕&陣地&その他
屋外展示場に入ってから、まず我々を迎えてくれたのがドイツ軍の兵器の数々。


SMK-18 V4/ SMK-18 V3 / SMK-18 V1
おおお...これまた凄い機関銃の束。
左と中が3.7cm FLAK18。右が2cm FLAK 30を束ねたもののようです。



38(t) 有名な割には初めて見た気がします。


↑の38tから派生したマルダーIII どぎつい。



4号戦車...の砲塔だけ


3号突撃砲D型...小学生がはじめてプラモの色塗りしました!みたいな塗装、どうにかならんかったのかね...。


3号戦車。酷い塗装でしょう? 右のは破壊された状態をイメージしてるんでしょうか。
それとも、経年劣化でこういう状態になっちゃったのかしら。


ハノマークSdkfz251


ドイツ軍の主力野砲 15cmりゅう弾砲。


いや、軍用車両とか専門外で書くことないですし、おすし(T_T)


ドイツ軍の展示を抜けた先は戦場でした。トーチカや塹壕が構築され、各所に戦車も配置されています。


T-34/76 なんか良い感じの角度で仁王立ちしてました。弾かれそう。


戦間期の戦車T-46。これは冬戦争で放棄されていたもののようです。21世紀になって発見されたとか。砲塔のアンテナが97式中戦車みたいですねえ。
看板には火炎放射戦車とありますが、普通の主砲に見える。


SU-85自走砲。茂みの間で良い感じに待ち伏せ状態。撃破するのが大変そうです。防盾に小さな穴が...。


T-34/76 すっかり「なんとか&パンツァー」のファンになってしまった陰で少しだけT-34の区別がつくようになった私。
ああ、ロシアへ行く前に「なんとか&パンツァー」見てたらもうちょっと楽しめたんだろうな...。


KV-1S。堅いことで勇名を馳せたKV-1。だけど「遅すぎ重戦車イラネ」と言われちゃったので軽量化したものが本車。
重戦車が重戦車たる所以の装甲を削ったモンだから、それこそ劣化T-34になっちゃって余計イラネ状態に。


BM-13カチューシャ。


ISU-152


SU-76i ふむふむ、これは鹵獲した三号戦車の車体を流用した自走砲とな。言われてみれば三号戦車だ。


T-44とIS-2さん。


T-34/85 主砲がカッケエ...。


T-48(SU-57)対戦車自走砲、M4シャーマン、マチルダII この辺は米英からの支援で受け取った車両ですね。



T-70 軽戦車


SU-100 自走砲


IS-3 第二次大戦最後のソ連製重戦車。後ろはIS-2。



装甲列車。列車砲格好いいですなあ。


EU 680-96機関車。格好いい(*^_^*)


破壊された(した)鉄橋と、右は走行後に軌道を壊してゆく焦土作戦用の車両だそうです。


ともかく野戦砲たくさん。もうみてらんないくらい。


大祖国戦争中央博物館は、私みたいに飛行機しか分からない人間にはちょっと物足りないかもしれません。(レプリカが多いですし)
むしろ、戦車や野戦砲などに興味のある人にお勧めしたい博物館です。
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