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警視庁も含め、都道府県警航空隊は主にヘリコプターを運用しており、このような大型機の運用は全国で初。
【社会・一般】
警視庁速度取締り強化へ。
E-8ジョイントスターズ採用


E-8 J-STARS(ジョイントスターズ)が警視庁航空隊に配備された。用途は首都高速の速度取締りだと言う。

E-8J-STARSは、湾岸戦争で試作機が投入され陸上監視のAWACSとして、砂漠のハイウェーを走行する、イラクの輸送トラック、戦車など数万車両を常に監視し、戦闘攻撃機による空爆の管制、地上軍の指揮を行い、非常に有効であることを実証した。

東京都警視庁がこれを試験的に首都高にて導入することになった。神奈川県警、千葉県警も共同で参加している。名称は「J-STARS」と、変わっていないが、「J」日本を表し、「STARS」とは警察を表すものとして掛けたものだと発表されている(本来は統合監視目標攻撃レーダーシステムの略)。
今回警視庁に導入されるのは、米空軍で使用されていたE-8A中古機である。おそらく多くのシステムは軍事機密ゆえに削除されているだろう。

このJ-STARSの特徴は2種類のレーダーにある。
まず一つはパルスドップラーレーダー。
パルスドップラーレーダーは、動体に電波を照射することにより、遠ざかる目標からは周波数が低くなり、近づく目標からは周波数が高くなって返って来ることから、1秒間に数万台もの動く目標のみを、レーダーに表示させることが出来る。このレーダーは低速の車両はフィルターによりカットされて高速で走行している車両、つまり速度違反車のみが表示させられる。
たとえばフィルターの速度を120Km/hにすれば、それ以上の速度で走行している車両が全て表示される仕組みになっている。

しかし、パルスドップラーレーダーでは違反車両の探知が出来ても、その車両の車種やナンバーの特定をすることが出来ない。そこでもう一つのレーダーモードである、合成開口レーダーの出番となる。合成開口レーダーは、レーダービームを特殊な方法で地上を「なぞる」事により、非常に精密な航空写真のような緑色調のモノクロ画像が作り出せる。解像度は60Km先で1〜2cmとされ、車両のナンバーさえも読み取ることが出来る。
ただし、レーダーの原理上、機体の真正面に位置する車両のナンバ―は読み取ることはできない。

これら二つのレーダーは互いにリンクされており、違反車両の探知識別は瞬時に行われる。その能力は秒間に100平方キロメートルに存在する車両全てを識別できるという。

もはやオービスの直前で減速するといった手段は通用しなくなる日も近い将来のことかも知れない。また、可視光線や赤外線ではないため従来のオービス対策をナンバープレートに施しても全く意味がない。
矛盾の名のとおり、どちらかが新しい手法を考えると、必ず片方は何かしらの対策を考えつくものである。車のナンバープレートにRAM(電波吸収剤)コーティングし、ステルス化するなんてことが将来あるかもしれない。


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