ミサイル護衛艦「いそかぜ」(DDG-183) ミニ・イージス搭載改修完了 25日、西藤海上幕僚長は、第三世代ミサイル護衛艦「いそかぜ」(基準排水量4700t)が、9ヶ月に及ぶ近代改修工事(FRAM)を終えて広島県呉基地において再就役したことを定例記者会見に置いて発表した。 「いそかぜ」は現在政府が進めているミサイル防衛(MD)用に、日本が独自に開発したFCS-3通称「ミニ・イージスシステム」と呼ばれる多目標同時攻撃と弾道弾追尾が可能な、高性能新型射撃装置を搭載する改修1番艦。 海上幕僚監部によると、「はたかぜ」型ミサイル護衛艦3番艦「いそかぜ」(艦長:宮津弘隆二等海佐 以下乗員260名)は、防衛庁が進めているミサイル防衛用として、平成16年度から予算化している「全艦イージス艦化計画」の1番艦として、試験艦「あすか」にて試験していた新型射撃指揮装置FCS-3(ミニ・イージスシステム)の改良型を搭載している。 また、8連装対潜ロケットランチャーを撤去し、同位置にスタンダード対空ミサイルを装填する垂直発射装置16セルを設置するなど、リアクションタイムの大幅短縮を実現している。 また旧型砲を下ろし新型127mm砲を搭載するなどの、大規模近代化改修(FRAM)を行い、多目標同時攻撃能力などそれまでの「はたかぜ」型に比べ各性能が大幅に向上し、大陸間弾道弾の追尾も可能となりイージス護衛艦「こんごう」型に匹敵する能力を獲得している。 また将来的には弾道弾迎撃も可能なSM-3新型スタンダードの搭載も予定されている。 海上自衛隊は「いそかぜ」に搭載したFCS-3の実地運用試験の結果を見極めた上で、今後「はたかぜ」型全艦と汎用護衛艦である「むらさめ」型「たかなみ」型護衛艦などにも「ミニ・イージスシステム」を搭載し、最終的には「こんごう」型4隻の大きな盾と「ミニ・イージス」艦の小さな盾で日本全土を防衛する計画である。 しかしこの近代改修工事は、いそかぜの場合で450億円と高額であるため財務省の片山さつき担当主計官は「近年の緊縮財政期においてこのような費用対効果が悪い計画に意味があるのか?ミニ・イージス戦艦なんて時代遅れよ!」と、今後の予算化には消極的。またアメリカ政府も日本の「ミニ・イージスシステム」開発に対して日本の軍事的独立を警戒し不快感を募らせており、今後順調に計画が進行するかどうかはまったく不透明である。 なお「いそかぜ」の配属先は、呉を母港とする、第3護衛隊群第65護衛隊。 僚艦はミサイル護衛艦「うらかぜ」である。 |
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