UMBILICAL CORD


A編隊:F−16Cファイティングファルコン「オースティン」
任務:1. 敵輸送機を撃墜、司令部破壊、兵舎破壊、上空で入る指示に従うこと。
隊長:GZ

B編隊:F−15Eストライクイーグル「ビューイック」
任務:通信施設破壊、上空で入る指示に従うこと。
隊長:MAYA

目標:赤軍施設の破壊

米国ラスベガスに程近いネリス空軍基地で行なわれるているレッドアロー大演習。同盟諸国らのエースパイロットも迎えて名実ともに世界最高の訓練環境が整えられている。

そのレッドアロー演習もいよいよ最終日に近づきクライマックスに入ってきた。我らの任務は赤軍のキャンプを破壊する事にある。また非常に強力な航空脅威があると思われる。対地のみではなく対空攻撃をもこなす事になるだろう。


MAYA「久しぶりに乗るF−15E…やはりこの機が一番落ち着くな。訓練生時代グランドキャニオンは何度見ているが、やはり素晴らしい景色だ・・・オースティン1そちらの状況はどうだ?」

GZ「こちらオースティン1、目標の輸送機を確認した。だが…こちら倍近いミグとスホーイがいる。」

今回の任務は明らかにGZの方が負担が大きい。彼の結果次第で任務の成否が関わってくるといっても過言ではない。数秒後GZのファイティングファルコンはミサイル接近警報を鳴らした。

GZ「ミサイルだ!!どこだ、敵はどこだ!?どこからミサイルが飛んできてるんだ!?助けてくれ、早く来てくれ!…うぎゃぁ!アイムヒットアイムヒット、ミサイルを食らった!フライトアンコントロール、操縦できない!!エジェクト!」

戦闘空域に入り任務開始から数十秒後、GZは敵機のミサイルを食らい脱出した。奇跡的に彼は無傷だったものの同時にウイングマンも撃墜され、4機のF-16Cオースティン部隊はリーダーの被撃墜により統制を失い瓦解。残り2機は基地に帰還した。


MAYA「まさかGZが…どうしたんだ?何があったんだ?」
GZの目標である輸送機がたまたま近づいていたので攻撃を加えていた最中である。


GZ「アイムセイフリー、これよりレスキューを呼び寄せる……すまなかった。とんでもない失態だ…まさかこうもあっさりとやられるとはな…」

MAYA「オースティン部隊は事実上全滅…か。我らだけで全てを片付けなくては。まずは航空脅威の殲滅からだ。」

MAYA「ビュイーックエンゲージオフェンシブアザーワン!」

「2、エンゲージ!」
「3、エンゲージ!」
「4、エンゲージ!」

4機のストライクイーグルはGZ部隊の後始末にかかっていたアグレッサーに対し一斉にミサイルを放った。

敵機が一斉にチャフフレアを散布し欺瞞を試みるがことごとく失敗し撃墜されていった。あっという間に航空脅威は取り除かれ残るは地上攻撃のみとなった。

MAYA「掃討完了、任務を続行する。編隊にもどれ。」

編隊を組みなおしレーダー探知を避ける為グランドキャニオンの谷間を縫うように飛行する。途中で遭遇した数機の攻撃ヘリコプターもバルカンで木っ端微塵に吹き飛ばした。


MAYA「ビューイックアプローチングターゲット。トレイル・ルーズ・フォーメーションジョインアップ!」

目標であるキャンプにまもなく到達する。目標に向かって隊長機を先頭にして真っ直ぐ伸びる緩いトレイル編隊を組む。


SAMのお出迎えは無かった。山間を飛行しているので山の上にあるレーダーでは全く探知できないからだ。

MAYA「ビューイック2、SAMのレーダーをやれ」

「2、ラジャー!アタックSAMレーダー」
ここで2番機が編隊をはずれ先行する。

MAYA「ビューイック3,4は兵舎をぶっ壊せ、遠慮は必要ない。ただし爆弾は半数を残しておけ、GZが失敗した尻拭いしてやらなければならないからな。」

「3、ラジャー」
「4、ラジャー」


アフターバーナーを全開にし高速度で接近し一撃離脱をする。搭載兵器は227Kgクラスター爆弾×8に227Kg汎用爆弾が2発だ。クラスター爆弾を選択しCCIP爆撃で行なう。

投下態勢視程良し、10セコンド、8,7,6…
対空機関銃を浴びせられる…3,2,1…ボムズアウェイ!

8発のCBUクラスター爆弾が0.20秒単位で次々と投下された。

MAYA機は投下後、F−100ターボファンの爆音を轟かせながらキャンプ上空で上昇しながら右へ急旋回して離脱して行く。投下した爆弾が空中で炸裂し数百発の子爆弾が赤軍、アグレッサー側のキャンプを襲った。ただでは済まされない被害だろう。

さらにビューイック3番機が目標に到達し8発のクラスター爆弾を投下する。そしてMAYA機に続き上昇しながら右急旋回で離脱して行った。

攻撃の手はまだ緩めず第三波4番機が同様にクラスター爆弾を8発投下した。やはり右急旋回を行ない離脱する。波状攻撃により全機総計1000発を超す子爆弾がキャンプに雨のように降り注ぎ、兵舎に高楼、車両、司令部、駐機中のヘリコプターは容赦無く破壊され、その跡地には残骸のみが散乱していた。これこそ世界最強のF−15Eストライク・イーグルの実力である。

2番機が先行しSAMを破壊していたので脅威は無くなっており反撃の気配は無かった。


「こちらJ−STARS、弾薬を満載したトラックが4両、ブルズアイ北5マイルの地点を走行中だ。至急これを破壊せよ。」

MAYA「。2番機を先頭にトレイルを組みそのまま北のキャンプへ向かえ、先ほどと同様に波状攻撃を仕掛けよ。我が機は車両を破壊する。」

MAYA機のみ離脱する。

MAYA「対地レーダーGMT(地上移動目標探知)モード…それらしき目標を探知。レーダーロックした、これより排除する。」

高空からトラックを目指し緩降下する。CCIPピパーをトラックの移動進路の前方に合わせて2発のクラスター爆弾を投下する。炸裂高度を高めに設定したので薄く広い範囲に爆弾が降り注ぐ事になる。装甲の無いトラックなど簡単に撃破できるからだ。

見事命中し搭載していた弾薬から二次爆発が起こった。

MAYA「ミッションコンプリート。全機リジョインせよ、ネリスに帰還する。」

F−16を一瞬にして二機失うというGZの失態が追求される事は無かった。彼は被撃墜後早々にもみ消し工作に走ったのだ。




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