スカイオデッセイ
2001年発売、プレイステーション2 6800円

ゲーム中で語られるストーリーを抜粋ー
4つの島を取り囲むこのエリアは、
めまぐるしく変化する天候の影響によって、
いまだ、旅客、物資輸送を行う航行ルートを作り出せない状況下にある。
そのようなこともあり、この諸島は人が足を踏み入れた場所がほとんど無い。
それぞれの島の行き来を妨げる秘境が数多く残る場所となっている。
秘境に打ち勝つために数多くの冒険者や開拓者たちが、この大空と大海原に集まり、
挑み、そして、敗れ去っていった…

中でも諸島の西に位置する、常に厚い雲海に覆われた「デスタン島」には、
太古の都市遺跡ヴィルドバルが眠ると言う伝説が語り継がれており、
諸島に集まる冒険者たちは、誰もがこのヴィルドバルに挑むことを夢見ていると言っても言い過ぎではないだろう。
各島にはヴィルドバルにたどりつくための地図が隠された遺跡が存在するとされ、
冒険者たちは次々と立ちふさがる、挑戦心と制服欲をかき立てる大自然の猛威や秘境地帯に打ち勝ち、
ヴィルドバルの謎を解く地図の眠る遺跡群を探し出すことに全てを賭けるのである。

生きて帰ってきたものがいないとされる、「デスタン島」に眠るヴィルドバルに挑むために…

ー以上。


飛行機がまだ、世に出始めて間もない黎明期。
世界地図にはまだ多くの空白地帯が残っており、現代の飛行機に比べると格段に制限された機体性能ゆえに、飛ぶことですら冒険であった時代…
このゲームはそういった1900年代初頭の世界観が舞台となっております。
他のものにたとえると、紅の豚や天空の城ラピュタのようなイメージでしょうか。
主人公となるプレイヤーの職業は、複葉機にてまだ見ぬ世界を求めて飛び立つ飛行冒険家です。


フライトモデルは実に良く出来ており、低速時の急上昇は不可能であったり、風の影響を極めて敏感に受けるため、まさに「飛んでいる感じ」が体感できます。ただ飛行機自体は若干頑丈に作られており、軽く岩に翼を擦ったりしたぐらいではダメージを受け、エルロン破損によるロールレート低下ぐらいであり、即墜落には至りません。着陸もかなり甘くなっております。
ただし!ゲーム自体はヌルく作られておりません。山脈、渓谷、森林、強風、積乱雲…敵は自然の猛威です。飛行に集中しなければ、とてもクリアできないステージが多く、極めて難しいため神経を消耗することでしょう。

このゲームを語るときに忘れてはならないのは秀逸なBGMです。本当、このゲームは気象や飛行地点によって様々なバリエーションに富んだBGMが流れ、より一層の緊迫感をかもし出しています。
例えば、私の最も好きな山脈越えステージの場合、離陸滑走から山に向かって飛行している間は勇ましい、チャレンジ精神をかき立てるようなBGMが流れ。

次第に悪天候になる中、山腹にて機体を軽くするため燃料を放出し、高度があがるにつれ苦しくなってゆく状況下では非常に緊張感のあるBGMと変わります。
そして、念願の頂上越え!燃料も残り僅かで降下して目的地に着陸するのみ…となるとBGMは、うって変わって安堵感のあるやさしいBGMへと変化し、燃料ぎれから滑空しつつタッチダウン。STAGE CLEAR!
この音楽の移り変わりが、また冒険飛行の雰囲気をかもしだすすばらしい演出なのではないでしょうか。
何度も…何度もチャレンジしても失敗におわったステージは、その分、クリアした時の達成感は格別です。本当に最高。

山脈越え以外の他の見所ステージですと天空の城ラピュタよろしく、常に厚い雲に覆われているデスタン島へ向かって雷轟く積乱雲の中を飛ぶフライトや、燃料タンクに穴があいている機体を回送するために、走行する列車(何故か新幹線並の速度)と並んで飛行しながら空中給油を受けつつ移動したり…と、最終ステージなんてもう…ドキドキ...うおーーー!マジで!?ガラガラドッッシャーン!ぎゃーーー…。いやもう、本当最後の着陸するときは心臓バクバク頭の中は真っ白でした。
メインとなるアドベンチャーモードでは、以上のような変化に富んだステージが全20近いステージがあります。
 
また、メインのアドベンチャーモード以外に、クルージングモード、スカイキャンバスモード、ポイントチェックモード、そしてトレーニングのサブモードが存在します。

クルージングモードは文字通り、クリアしたステージを自由に飛び回ることが出来ます。このクルージングモードが天候変化に非常に凝っており、なんと飛行機ゲームなのにも関わらず、気圧や雨、前線の原理から等圧線などの天気図の読み方まで、図解入りで非常に分かりやすく事細かにレクチャーしてくれます。まぁ飛行機ゲームだからこそ…とも言えるかも知れませんが。

せっかくなので全レクチャー項目を並べてみます。

気圧とは
上昇気流とは
気団とは
前線とは
天気図とは
天気図記号の見方
天気図の線の見方
天気図の使い方
風はなぜ吹くのか
雨はなぜ降るのか
天気はなぜ移り変わるのか

 

プレイヤーは天気図から刻々と変化する気象を読み取って自分がプレイしたい気象条件がそろってから飛び立つ必要があります。天候なんて一発で設定できれば良いじゃん。という人にはお勧めできませんが、中々面白い機能でした。
中学生プレイヤーなら、まず間違いなく理科の成績が上がることでしょう(笑)

次にスカイキャンバスモードですが、こちらはスモーク発生装置を取り付けた機体で、指定された図を空に描きます。全てのスカイキャンバスモードのステージをクリアすると、自由に描くフリーステージがプレイ可能です。もし、初代エアロダンシングをプレイされた方なら大満足な機能なのではないでしょうか?

ポイントチェックモードは指定された離陸後指定されたチェックポイントをまわり着陸するモードで、クルージングモード同様、天候条件を待つことが可能です。クリアするとアドベンチャーモードで使用できる機体やアイテムを入手することができます。



さて、登場する機体ですが。
まず最初から使えるのは3機種です。

ソードフィッシュMk1カスタム。
パルスジェット テストタイプ(なにこれ?)。
Bf-109カスタム。


ソードフィッシュは旋回性に優れ、パルスジェットテストタイプは速度性能に優れます。Bf109はその中間。ミッションに応じて機種を選択すると良いでしょう。
私的にはソードフィッシュを標準で使うと雰囲気が出るのでは無いかと思います。やはり複葉機の方が黎明期の航空機っぽいですしね。
この3種類の機体はステージをクリアするごとにもらえるパーツによって、主翼やエンジン、プロペラ、スタビライザー、キャノピーなどをカスタマイズすることが可能です。



他に特殊な条件を満たすと出現する機体に
Me262
F4Uコルセア
ステルスジェット(F-117)
震電
震電改(ジェット)
UFOゴールド
UFOシルバー


他にもあったかな…?まぁこんな感じです。
このへんはあくまでもオマケです。F-117つかって山脈越えしても全く面白くもなんともありません(笑)


さて、素晴らしいゲームですが、最大の難点は水平儀が無いため極めて空間識失調に陥りやすい事です。谷や洞窟など狭い場所を潜り抜ける必要が多いため、空が見えない場所では自機の姿勢が全く分かりません。特に積乱雲の中を抜けるときは…どっちが上なのか全く分かりませんでした。高度計の動きや、背面飛行時は機首が上がる(実際は地面の方に向く)ことから、からかろうじて姿勢を察する他ありません。まぁそのパニック状態がまた面白いのですがね(笑)


なお、表示される計器は
スロットル
ギア状態
気圧高度計
対地高度計
速度計
地形レーダー
各部位ダメージ計器

…です。
高度と速度はノーマルの状態ではメートル,キロメートル/時ですが、オプションでフィート,ノットに切り替えられます。
の航空機のほとんどはフィート,ノットですが、Bf109などはメートル単位でしたので、まぁ好みで選択するとよいでしょう。



さて、長くなりましたが、スカイオデッセイには敵を打ち落とす弾丸やミサイルは有りません。ハッキリ言って難易度も半端ではなく、何度となく大自然の前に打ちひしがれる事でしょう。しかしながら何回失敗しても、スカイオデッセイは「飛ぶ」事に楽しみを覚える、「飛行機野郎」にのみお勧めできるゲームです。

プレイステーション2の飛行機ゲームで、自分が気に入ったゲームの順位付けをするならば、間違いなく1位はスカイオデッセイを選びます。
もし、これを読んでくれた貴方がプレイステーション2をお持ちでしたら、一緒にデスタン島に眠る遺跡を目指してみませんか?
きわめて麻薬性の高いゲームです(笑)

操作概要

左スティック 操縦桿
L1 左ラダーペダル
R1 右ラダーペダル
L1+R1 ブレーキ
L2 レーダー計器切り替え
R2 コックピットレイアウト切り替え

△ ギアアップ/ダウン
□ スロットルアップ
× スロットルダウン
○ アクションボタン(燃料放出や物資投下などステージによって割り当てられる)

SELECT 視点切り替え(コックピット,前方,後方2種)
START ポーズ&地図表示




あ、ちなみに山脈越えミッション、最後山下るときに安堵感あるBGMに変わるとか書いたけど、本当は緊張感あるBGMのままです。まぁ変わるステージが多いので、例ってことで。もっとも難所続きで一段落ついたところでフーっと一息ついてると、不意打ち食らってアボンでする事も多々ですが(笑)。スカイオデッセイのサントラ、、、たぶん無いけどほしいなぁ。自分でPCに録音するかなー(BGM吸出しツール無いかな)。






最後にスカイオデッセイに挑む、孤高の飛行冒険家達に一言。









「おうちに帰るまでが遠足だ」(涙)








関連リンク
公式ウェブサイト

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