戦闘機基地の
騒音訴訟について考える。


とあるジェット戦闘機が配備されている基地の反対派のお話です。どこの基地かは秘密です。仮にA基地とでもしておきましょう。
さて、以下はそのA基地反対派の騒音訴訟の原告談です。(要約)


ジェット戦闘機が訓練から帰還すると、特にF/A-18は翼端から白い雲のような物を引きながら飛行している。あれは何であろうと長年の疑問であった。
知り合いに聞いたところによると着陸に際し、着陸のため燃料を放出しているのだそうだ。
その後、墜落した旅客機についての特集テレビ番組をみて驚愕した。なんと墜落した旅客機からは有毒な燃料が散り防護服を着なければ近づけないというのだ。
濃度は薄いとは言え我々は騒音や排気ガスで悩まされている上に有毒の燃料を毎日吸わされていることになる。

そこで私ははっと気がついた。我々は濃度は薄く即効性は無くとも毎日微量ずつ摂取され有毒物質が蓄積していることから、その影響を調べるための人体実験にされているのではないか。戦争がおきると正義名のもとに必ず人体実験が行われる。広島や長崎の原爆、イラクへの劣化ウラン弾同様である。この人体実験が完了するまでA基地を撤去しようとしないのではないか。



この人、さすが原告だけあって良く観察しています。その通りF/A-18は翼端から頻繁に白い雲を引いて飛行します。

 
この二枚の写真はそのA基地で撮影した2機種のほぼ同時刻の写真です。見てのとおりF-14は白い雲を引いていないのに対しF/A-18はくっきりと白い雲を引いています。
戦闘機の空中機動を航空祭で実際に見たことのある人ならおわかりでしょう。いや、空中戦ゲームをやった事のある人だってすぐわかると思います。この翼端から出ている雲は燃料ではなくベイパーと呼ばれる雲だということが。
ベイパーは翼の下面の高圧の空気が、翼の先端を回って低圧の空気とぶつかることにより空気中の水蒸気が飽和水蒸気量をこえて水となり目に見える現象であり、こんなモンが有害物質ならば、湯気だって十分有害です。

さて、このA基地騒音訴訟の原告の見た「燃料らしき物」はただの水であったわけですが、実際に燃料を投棄する事も少なからず有ります。



上の写真はA基地で撮影したS-3バイキングの写真です。離陸後なんらかの不調をきたしたのか、原告の言うとおり燃料を放出して着陸のため重量を軽くしています。
さて、実際に燃料が大気中に放出されているわけですが、これは下の住民になにかしら害を与えているのでしょうか?

燃料が有毒であるのは事実です。大量に燃料がこぼれ出ている場所へ行くには防護服が必要なのも事実です。しかし、大気中に放出した燃料はすぐに気化してしまい、地上まで燃料が直接降ってくることはありません。さらに気化した燃料は高空の強い風にあおられて拡散し、気流によって流されてしまいます。
0.00000000001%ぐらい(根拠の無い数字です)は地上に降りてくるかもしれませんが、所詮この程度です。燃料の放出に抗議するぐらいなら、まずは近くのガソリンスタンドや喫煙者にどうぞ。よっぽど有害なはずです。

騒音公害で、自分たちの生活権が著しく侵害されているという事については積極的に国に対して戦うべきだとは思います。その結果A基地で行われていた日本最大の航空祭は消えてしまい、本心を言うと心底悔しい思いをしています。元々日本でも有数の人口密集地区で戦闘機の機動飛行を行う自体がおかしいのですから、これは仕方がありません。
しかしです。この騒音訴訟原告(上と同一人物)は2001年におきた水産高校実習船と米国原潜との衝突事件において、アメリカは原潜による体当たりで船を撃沈できるか実験を行ったなどとも発言しています。とうてい本気とは思えませんが、沈没させてしまった結果何人もの尊い命が失われたのにも関わらず、どうして冗談を言えるのでしょう。アメリカが賠償したお金で何隻の実習船の同型が購入できることやら。
アメリカ海軍の誰がすき好んでA基地周辺住民や漁船のクルーを人体実験体にするのでしょうか。日本国民ならまだしも(!?)、同じ飛行機の下にはそのパイロットの家族だって居住しているでしょうに。

原告の全員が全員こんな発言をする人達とは思いませんが、日本政府や米国政府と戦うならば、それなりの根拠の有るキチンとした発言をするべきです。ちょっと肩が触れただけで「痛ぇな、肩の骨が折れちまったよ、てめェ治療費出せやコラ!」などとイチャモン付けてるのと全く同じ行為をする人達を信用することはできません。理解を得たかったらそれなりの言動をしてほしいものです。

駅前などで有事法制反対と叫ぶ団体にも言える事です。別に反対署名を集める事自体に意見はありません。特に有事法制みたいな他国の外交関係も絡むような微妙な法案は反対派もしっかりと行動してもらわないと困ります。
自分自身は賛成派の言う「備え有れば憂い無し」も必要だと思うし、反対派の言う「徐々に戦争にならされてゆく」という危機感も理解できます。それに個人の権利も大幅に制限されてしまうし。
しかし、反対派の主張はハッキリいってA基地同様丸っきりの知識ゼロのイチャモン。聞いてて腹が立ちます。

誰々のあきれた言動うんぬんで騒ぐなら、他人のふりみて我がふり直せ。

最後に…あの表題の下の思いっきり逆光のF-14の写真、着陸寸前の低空で燃料漏らしてます。あたりは石油ストーブが不完全燃焼したような異臭に包まれました。この程度の1回や2回で害を及ぼされることは無いと思いますが、なんらかのアレルギーが強い人にはちょっとキツイ環境になっていたかもしれませんね。反対派の言うことは過剰にもほどがありますが、騒音以外でも少なからず公害を振りまいているということも、戦闘機を趣味とするならば知っている必要があるかもしれません。


…今回はちょっと独り善がりになりがちでした。ちょっとトゲのある表現のあったことをお詫び申し上げます。