トンデモ誘導爆弾

レーダー,レーザー,赤外線,慣性,画像認識,GPS…いまや空対空も空対地も精密誘導兵器は当たり前になりつつあります。

しかし3/4世紀もさかのぼると、自ら誘導する弾なんぞ夢物語でしかありませんでした。
第2次世界大戦後半にドイツ軍が母機無線誘導での爆弾や空対艦ミサイルを実用化して実績をあげたものの、不確立の技術であり「発射後の自律誘導」には程遠い状態でした。

戦後はサイドワインダーの成功により、空対空ミサイルはベトナム戦争時には機関砲を駆逐するまでに発展しましたが、誘導爆弾は核兵器万能時代に入ったためさほど進化はしておりません。なぜなら核兵器という精密誘導を全く必要としない爆弾こそが万能という時代に入ったからです。
現在のような空対空ミサイルは性能に差こそあれ50年も前に登場しましたが、精密爆弾はベトナム戦争後期に「不死身のドラゴンジョー(鉄橋)」に対して使用されたF-4EファントムIIによるペイブウェイからと言えます。

前置きが若干長くなりましたが、早くも15回目を数える今回はメジャーではない誘導装置を2、3紹介しようかと思います。

■天文誘導装置
現代はGPSさえあれば太平洋だろうが大西洋だろうがどこでも自らの位置を瞬時に割り出すことができますが、大航海時代以前より、遠くを旅する場合は太陽や星の位置から計算して自分の位置を知りました。この古代より伝わる天文航法は、最新のテクノロジーを実装することにより事実上妨害する術の無い信頼のできる誘導装置として復活しました(誤差の補正のための予備として)。
ただしピンポイントの正確さで命中させる事は出来ないので弾道ミサイルの中間誘導で使用されています。

■人間誘導爆弾
はい特攻機です。いまさら神風特攻隊について説明しなくてもご存知でしょうから現代の人間誘導爆弾といきましょう。
北朝鮮は老朽化して使い物にならなくなったMiG-17戦闘機数百を人間爆弾として使用する、決死隊を発足させているとのうわさです。主用目標は南の最重要政府機関であり、地上レーダーに映らないような超低空を高速で飛行し、大編隊で迎撃を困難にさせる飽和攻撃を行うまさに北朝鮮の人間爆弾であります。また、これと同様にセスナのような低速軽量な飛行機による自爆戦術も確立させています。低速な航空機はAWACSの優秀なレーダーには映らないのです。かの国を見ていると戦前・戦中のわが国のように思えてしまうのは僕だけ…?

■ハトポッポ誘導
第2次世界大戦末期アメリカ。誘導爆弾について試行錯誤が行われていたころの話。
対艦ミサイルの誘導装置を研究していたある博士はハトが豆を食べている様子を見てをひらめきました。
ミサイルの中にハトを閉じ込め、ミサイルの先端に取り付けられたカメラの様子をそのハトに見せたら、豆のように映る艦船をクチバシで突くのではないか?...と。
ミサイルは突かれたほう、突かれたほうへと進路を修正することで命中を期待するといった内容です。ユニークな発想には笑えますが、馬鹿にしてはいけません。人間を誘導装置につかうよかずっとマシですから。ハト誘導対艦ミサイルは当然実用化されませんでした。