B707の曲技飛行


まだ、ジェット旅客機というものが存在せず、ダグラスやロッキードがボーイングよりも優位に立っていた時代…

後にB-707と正式名称が与えられたジェット旅客機(試作研究機)には「ダッシュ80」と名が付けられておりました。
シアトルにあるボーイング社の飛行場で日夜テストが繰り返されており、ある日、湖でおこわなわれる権威あるモーターボートレースのデモンストレーションとして「ダッシュ80」をフライバイさせる事になりました。パイロットは当然主任テストパイロットです。ボーイング幹部陣も地上で見守るべくモーターボートレース会場に向かいました。航空会社の社長を呼んで新型機をアピールする為です。

レースは非常に盛り上がり大盛況でした。そして「ダッシュ80」は低空で湖上に進入し、見るものを驚かせました。そして徐々に上昇姿勢に入り…高度400フィートで、なんとB-707がバレルロールを行なったのです!湖上空で完全に背面になるB-707!大きく旋回し再び上空に舞い戻る「ダッシュ80」はまたもバレルロールを行いました。

これには観客唖然。比較的小型の戦闘機や曲技飛行機ならいざしらず大型のジェット機がバレルロールを行なったのですから。
皆はボーイング社の粋な演出に拍手喝采で賞賛しました。

ところが、これを地上で見ていた幹部は…
恐らくこんな顔をしていたでしょう→ Σ( ̄□ ̄;)

そう、全てパイロットが独断で行なったのです。

ボーイングの会長が、言いました。
「君の心臓発作の薬を分けてくれないか。」